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2008年11月16日 (日)

判例タイムズ (1277号/判例タイムズ社)
 

被相続人の預貯金が遺産分割の対象外であること(←可分債権である以上,当然に分割承継されるから)の確認を求める訴えは,確認の利益を欠き不適法であると判示した,高松高判H18.6.16。

不適法却下という結論自体よりも,その背景にある問題意識が面白いと思いました。

現在の最高裁の考え方によれば,預貯金は可分債権であり,相続人はこれを当然に(=遺産分割手続を経なくても)それぞれ分割取得すると解されています。よって,各相続人は,遺産分割手続が未了であっても,各自,金融機関に対して法定相続分相当額につき払戻請求をなしうるわけです。

・・・ところが,これをやってしまうと,相続人の一部が寄与分を有している場合に不都合を生じるというんですね。つまり,本来,寄与分権者は法定相続分よりも多めに遺産をもらえるはずですし,その反面,他の相続人は少なめの遺産しかもらえないはずです。にもかかわらず,最高裁の考え方に従って各相続人に法定相続分相当額の払戻請求を認めると,本来ならば寄与分権者へ多めに与えるべき遺産まで他の相続人の手に渡ってしまうことになるわけです(本件もまさにそのような事案でした)。その意味で,最高裁の上記見解は,非寄与分権者による「早い者勝ち」という事態を生みかねず,寄与分制度の趣旨を没却するという批判がなされています。

特に,遺産が預貯金だけという場合は,全く遺産分割手続を行う必要がないため,そもそも寄与分を斟酌する機会・場面が全くありません。・・・どうするんでしょうね。遺産分割調停はできないわけですから,不当利得返還請求訴訟でも提起するんでしょうか。やったことないので,よくわかりませんが。


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