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2008年12月 2日 (火)

判例タイムズ (1278号/判例タイムズ社)
 

配偶者の不貞の相手方に対する慰謝料請求に関する論稿。岡山地裁倉敷支部の判事補である安西二郎氏が執筆しています。

実務上よく争われる点についてはほぼ網羅的に説明されており,この種の事案を扱う際の有用な指針となるでしょう。

以下,自分用メモ。

(1) 「婚姻関係は客観的に破綻していた」との主張(権利侵害の否認)
→「夫婦間で離婚話が出ている」「離婚届に記入している」等では足りない。別居の有無や調停申立の有無,具体的な離婚協議の有無等を検討する。裁判所の認定はかなり慎重(おおむね10件中9件はアウト)。

(2) 「配偶者がいるのを知らなかった」との主張(故意・過失の否認)
→職場・知人等の場面では問題となりにくいが,出会い系サイト等で出会った場合に問題となる。既婚者との疑いを生じさせる具体的事情がない限り,無過失としてよい。

(3) 「既に離婚手続きが済んだものと思っていた」との主張(故意・過失の否認)
→以前の婚姻を知っている以上,(2)よりも通りにくい。「離婚した」という言動を信じただけでは足りず,その裏付けとなる根拠まで必要。

(4) 「婚姻関係は破綻しているものと思っていた」との主張(故意・過失の否認)
→同じく通りにくい。やはり「破綻している」という言動を信じただけでは足りず,その裏付けとなる根拠まで必要。

(5) 消滅時効の起算点
→(a)不貞それ自体による精神的苦痛は「不貞終了時」,(b)婚姻関係が事実上破綻したことによる精神的苦痛は「破綻時」,(c)離婚に至ったことによる精神的苦痛は「離婚時」より起算する。但し,(a)より(b)の方が時期的に早い場合は,破綻した時点で不貞も終了と扱われる(破綻により保護法益が失われる結果,不法行為は終了する)。なお,(c)だけだと,金額が大幅に減るケースもあるので注意。

(6) 不貞の主導者
→配偶者が積極的に不貞を主導していた場合,そのことを(単なる内部的負担割合の問題にとどまらず)慰謝料の減額要素として斟酌する例が多い。

(7) 慰謝料の相場
→離婚や事実上の破綻に至ったケースで200万円前後,そこまで至らなかったケースで140万円前後が平均。

(8) 興信所の調査費用
→立証活動の上での重要性によるが,半額程度につき相当因果関係ありと認めた例も紹介されている。

【参考】 弁護士ラベンダー読書日記


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