判例タイムズ (1295号/判例タイムズ社)
相続人の1人に対して全財産を相続させる旨の遺言がある場合に,他の相続人が遺留分を主張したケース。被相続人は,財産だけでなく負債も残して亡くなっていたため,遺留分額の算定に際し,負担すべき相続債務の額を加算すべきではないかが争われました(最判H21.3.24)。
まず,本件のような遺言の法的性質は,「相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定」であるというのが一般的理解だと思います。
そこで,このような理解を前提に,今度は,相続債務の帰属を検討することになります。
この点,債権者との関係(対外関係)では,相続人全員が法定相続分に応じて債務を承継するということで,ほぼ異論はないでしょう。
しかし,相続人間の関係(内部関係)については,考え方の分かれるところです。本判決は,原則として,財産のみならず負債についても相続分の指定があったものと解すべきであるとし,本件事案では,全財産を相続した相続人1人に全債務が帰属すると判示しました。
従って,仮に他の相続人が債権者の求めに応じて弁済をした場合は,内部的に債務を負担する相続人に対して求償しうることになりますから,この分をわざわざ遺留分に含めて二重評価する必要はないという結論に至ります。
【参考】 離婚弁護士の訟廷日誌 , 弁護士小松亀一
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