判例タイムズ (1305号/判例タイムズ社)
土地の譲受人が占有者に対して明渡を請求したのに対し,当該占有者は訴外人物から土地を賃借しているとし,(1)訴外賃貸人による土地所有権の取得時効,もしくは,(2)占有者による土地賃借権の取得時効が完成している旨,主張した事案(東京高判H21.5.14)。
まず,(1)については,援用権者の問題があります。この点,「直接」の利益を受ける者に限るというのが判例の立場ですね。建物賃借人が賃貸人による土地所有権の取得時効を援用することは「間接」の利益にすぎず許されない,という話は有名です。ただ,本件の場合は,もともと土地賃借人ですので,判例の立場からも「直接」の利益と言って差し支えないでしょう。その上で,177条の問題として処理することになるわけですが,本件では土地譲受人が先に移転登記を具備していました。
そこで,次に,(2)占有者は,自分自身による土地賃借権の取得時効を主張し,かつ,土地譲受人は自分との関係で背信的悪意者であるから,この賃借権を対抗することができる・・・との構成がとられました。この点,土地賃借権の取得時効が認められるためには,要件として,継続的な用益と賃借の意思に基づくことの客観的表現が必要とされていますが,本判決はこれをいずれも認めました。さらに,背信的悪意者であるとの主張もそのまま認めて,結論的に明渡請求を否定しています。
講学上の重要論点について具体的適用を示した判決として,重要な意義を有すると評釈されています。
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