2009年12月 3日 (木)

判例時報 (2051号/判例時報社)
 

マンション賃貸借契約における敷引特約・更新料特約について,いずれも消費者契約法10条に反し無効であるとした,京都地判H21.7.23。

敷引は家賃5ヶ月分,更新料は家賃2ヶ月分,また,居住期間は当初契約2年+更新後2ヶ月という事案でした。


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2009年11月26日 (木)

判例時報 (2050号/判例時報社)
 

いわゆる名義貸しにおける責任の帰属が問題となった,東京地判H21.5.14。

株取引で多額の損害を生じたため,証券会社が顧客に対して差損金請求をしたところ,顧客から「自分は名義を貸しただけだ。実際に取引をしていたのは別人である。」旨の反論が出されたというケースです。

名義貸人の責任といえば,まず民法109条での処理が思い浮かぶのですが・・・。本件の場合,契約締結行為自体は当該顧客本人が直接行ったという事実認定が前提となっているためでしょうか,民法109条は全く登場しません。

では,どうやって処理したかというと,なんと民法93条但書類推適用の登場です。権限濫用の論点以外では珍しいですね。「自分が名実ともに契約当事者である」という外形上の表示と,「自分は単に名義を貸すにすぎない」という内心との食い違いは,心裡留保に類似する・・・という感じでしょうか? 証券会社が顧客の内心(名義貸しにすぎない)について悪意・有過失であるかどうかを問題にし,結論的には善意無過失であるとして差損金請求を認めました。


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2009年11月 8日 (日)

判例時報 (2049号/判例時報社)
 

携帯電話からブログにアップした内容が名誉・信用毀損となる場合に,当該携帯電話会社に対する発信者情報開示請求を認めた,東京地判H20.9.9。

「経由プロバイダは特定電気通信役務提供者に該当しない」というのが携帯電話会社の主張のようですが・・・。当該書き込みから発信者本人まで遡っていく過程を考えれば,法が経由プロバイダを除外する趣旨とはおよそ考えられません。裁判例の状況も,開示請求を認めるものが有力であるとの評釈が付されています。

【参考】 田舎弁護士の訟廷日誌


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2009年10月18日 (日)

判例時報 (2048号/判例時報社)
 

いわゆる低髄液圧症候群の発症を否定した,名古屋地判H21.3.18。

起立性頭痛なし,ブラッドパッチの効果なしで,一蹴されてます。

このところ刊行物で目につくのは,否定例ばかりですね・・・。

【参考】 田舎弁護士の訟廷日誌


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2009年10月 6日 (火)

判例時報 (2047号/判例時報社)
 

女性販売員との交際が実現するかのような錯覚を抱かせて高額な宝飾品を購入させる「デート商法」が問題となったケース。

かかる売買契約は,不公正な方法による取引として,公序良俗に反し無効と考えられます。この場合,割賦販売法30条の4第1項に基づいて,未払代金の請求を拒絶することが可能です。

他方,既払代金の返還請求については,否定する裁判例が多いのですが,今回掲載されている名古屋高判H21.2.19は,売買契約が公序良俗違反により無効となったことで,クレジット契約も目的を失って失効する結果,既払代金についても不当利得として返還請求することができると判示しました。

実に結構な判断ですね。さすがは消費者保護の最先端地域・名古屋です。


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2009年9月27日 (日)

判例時報 (2046号/判例時報社)
 

仮処分命令の保全執行として間接強制を行った後,本案訴訟において当該被保全権利が存在しないと判断されたことから,既に取立て済みの金銭を「不当利得」として返還すべきか否かが問題となったケース(最判H21.4.24)。

どうなんでしょう。本案訴訟で決着がついてしまった以上,仮処分で得た金銭の保持を引き続き認める理由はなく,当然返還せざるをえないというのが大方の実務感覚ではないでしょうか。案の定,本判決も,返還請求を認めています。

・・・ただ,この論点の背景は,なかなか興味深いです。上告人(仮処分の債権者)の言い分は,「間接強制金の法的性質は,裁判所の命令義務違反に対する制裁金である」との前提に立った上で,「裁判所の間接強制決定が下された時点で任意の支払いを拒絶した以上,(被保全権利の判断とは独立して)命令義務違反に対する制裁が科せられるべきである」というものなんですね。

確かに,「仮処分命令が出ても無視すればいい。とにかく本案での勝訴をめざす。」なんていうスタイルが一般化すれば,民事保全の制度は全く無意味なものとなるわけでして・・・(プリンセスホテルの一件も然り)。果たしてそれでよいのかという問題意識は,確かにありうるところでしょう。


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2009年9月15日 (火)

判例時報 (2045号/判例時報社)
 

小規模な有限会社の代表者が交通事故で死亡した場合に,役員報酬年額840万円を全て労務対価部分として逸失利益を算定した,札幌地判H21.2.26。

そもそも役員報酬は,「労務の対価」たる部分と「役員という地位に対する報酬」たる部分で構成されます。一般には,労務の対価を一定割合(50~90%)に制限する裁判例が比較的多いとされていますが,本件は,全額を労務の対価と認めました。その根拠としては,年齢に照らしてさほど高額な報酬とは言えないこと,また,本件事故後に会社の売り上げが大きく減少していること等が挙げられています。


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2009年9月 2日 (水)

判例時報 (2044号/判例時報社)
 

奇しくも近隣紛争の請求認容事例が2件並んで紹介されています。

1件目は,隣接土地での建物建築が眺望の利益を侵害するとして,建築差止めの仮処分申立を認容した,横浜地小田原支判H21.4.6。もともと「眺望を阻害しない」という約束が前土地所有者との間で存する等,やや特殊なケースではありますが,それにしても建築差止まで認められるもんなんですね。

2件目は,建物解体工事にともなう騒音・振動が近隣住民の受忍限度を超えているとして,解体工事会社の不法行為責任を認めた,さいたま地判H21.3.13。「ある程度継続的に85デシベルを超える騒音」「ある程度継続的に75デシベルを超える振動」は,特段の事情がない限り,受忍限度を超える違法な騒音・振動というべきであると判示されています。(あ,振動もデシベルで測るのか・・・。音は空気の振動ですしね。)


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2009年8月27日 (木)

判例時報 (2043号/判例時報社)
 

公園から自転車で道路に飛び出した児童が車にはねられて死亡した事故について,車の運転手のみならず,公園・道路の管理者である地方公共団体にも賠償責任を認めた,名古屋地判H21.3.6。

現場の公園は,樹木が繁茂していて見通しが確保されておらず,車と自転車とが衝突しやすい危険な状態にあったということで,国賠法2条1項にいう管理の瑕疵が認められています。

国賠案件を取り扱ったことのない弁護士からすると,「なかなか思い切った判断をするんだなぁ」という感じですが,評釈によれば,樹木のせいで視野が狭まっていることを瑕疵と判断した裁判例は他にもあるらしく,十分ありうるスジみたいです。
 
 
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2009年8月21日 (金)

判例時報 (2042号/判例時報社)
 

譲渡禁止特約に違反して債権を譲渡した債権者が,当該譲渡の無効を主張しうるかが争われた,最判H21.3.27。

そもそも譲渡禁止特約違反の効果については,物権的無効説と債権的無効説があり,前者が判例・通説とされています。もっとも,譲渡が無効とされた場合に,その無効を誰が主張しうるのか(主張権者)は別問題であり,たとえば錯誤無効の場合も第三者による無効主張が制限されていますね。

本判決は,譲渡禁止特約の趣旨が債務者保護にあることから,特段の事情がない限り,債権者側で譲渡の無効を主張することはできないと判示しました。


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