2009年12月 8日 (火)

消費者法ニュース (81号/消費者法ニュース発行会議)
 

先物取引業者との裁判上の和解に基づいて受領した和解金および遅延損害金について,課税庁が「雑所得」の収入金額にあたるとして課税したのに対し,被害者が課税処分の取消しを求めた,大分地判H21.7.6。

所得税法・同施行令では,不法行為による損害賠償金は原則として非課税,例外的に業務の収益補償と言える場合は課税することと定められています。

この点,課税庁は,(1)同法にいう不法行為は事実的不法行為に限られ,取引的不法行為は含まれない,(2)仮に取引的不法行為を含むとしても,当該和解金は売買差金の補償であるから例外的課税の対象になる,と主張しましたが,判決はいずれも排斥し,課税処分を取り消しました。

本判決は,広く消費者被害の回復金全般に通じる非課税理論を打ち立てた画期的判決であると評釈されています。


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2009年8月17日 (月)

消費者法ニュース (80号/消費者法ニュース発行会議)
 

いわゆるパチンコ必勝法詐欺について,情報提供会社およびその代表者の不法行為責任を認めた,名古屋地判H21.4.24。

正直に自白しますが,最初にこの手口の被害事例を聞いた時は,あまり(価値判断的に)救済の必要性を感じませんでした。「パチンコで稼ごうという発想自体がけしからんのに,それがうまくいかなかったら今度は金返せって・・・どんだけ~?」みたいな気がして。

しかし,その後,メーリスや雑誌でこうして勝訴報告を目にするうち,「これも典型的な詐欺商法であり,責任追及は当然可能だ」という考え方にいつのまにやら変わってくるから,我ながら不思議です(雰囲気に流されやすいとも言う)。消費者保護に熱心に取り組む先生方の努力には,本当に頭が下がる思いです。


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2009年5月10日 (日)

消費者法ニュース (79号/消費者法ニュース発行会議)
 

預金債権の執行について,3営業日内に発生(増加)する預金部分について包括的な差押をすることを認めた,奈良地命H21.3.5。

差押債権目録を見ますと,口座を特定した後に,「本命令送達の時から3営業日以内に上記口座にかかる普通預金債権となる部分(本命令送達の時に存在する預金および同日を含む3営業日が経過するまでに受け入れた金員によって構成される部分)」という表現で時的範囲の特定が図られており,大変参考になります。

いいですね,いいですね。

ちなみに,弁護士の業務領域の拡大ということを考えた場合,「執行法の強化」は非常に効果的だと思うんです。日頃,我々が相談をしていると,「確かに請求権は立ちそうだけど,執行の可能性がどうもなぁ・・・」と思える案件が少なくないでしょ? そこで,法改正によって執行法をおもいっきり強化し,執行の可能性を劇的に高めることによって,受任可能な案件を増やしてはどうかと思うんです。全体的な事件のパイ数は一向に増える気配がないわけですから,むしろ,そのパイの中身の「質」を高める(受任可能案件の割合を増やす)ことを考えた方が利口じゃないかなぁ,と。・・・それに,債権の実現を図る!逃げ得を許さない!という大義名分がありますから,(合格者削減論に比べれば)世論の理解も得やすいのではないでしょうか。


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2009年2月13日 (金)

消費者法ニュース (78号/消費者法ニュース発行会議)
 

いわゆる「おまとめローン」の有効性に関する論稿。

債務者としては,従前の取引に利息制限法を適用した場合に過払い状態となっている(そうでなくても負債が大幅に減額される)ことを認識していない場合が多く,また,おまとめローン業者もそのようなことをあえて教えたりはしません。かように債務者の窮状・無知に乗じた取引という性質を持つことから,当該おまとめ契約の条件(金利や担保設定の有無等)によっては,暴利行為として契約が無効になるものと考えられています。

本論稿では,さらに一歩進んで,おまとめローンという仕組みそのものが「違法な収益獲得システム」であるとして,契約を無効とする可能性を提唱しています。


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2008年12月10日 (水)

消費者法ニュース (77号/消費者法ニュース発行会議)
 

前号の消費者法ニュースで紹介されていた勇気ある判決に続いて,同様の判断をした裁判例がいくつか出ています。

◎東京簡裁H20.9.8

第1取引と第2取引との間に15年の空白期間がある過払金請求のケース。上記判決は,取引が一連か別個か,ブランク期間の長短等にかかわらず,常に過払金の充当を認めるべきと判断し,従来の最高裁の判断枠組みを排斥しています。

◎京都簡裁H20.7.22/宇都宮簡裁H20.8.29

プライム(廃業済み)から債権譲渡を受けたSBIイコールクレジットに対する過払金請求のケース。いずれの判決も,単なる債権譲渡ではなく,契約上の地位の移転があったものと評価して,SBIに対する過払金請求を認容しています。


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2008年8月29日 (金)

消費者法ニュース (76号/消費者法ニュース発行会議)
 

消費者弁護士としては拍手を送りたくなるほど,勇気ある判断をした判決2例を紹介します。

◎古川簡判H20.1.31

計4個の基本貸付契約が存在し,取引の一連性を認めることができないケースでしたが,不当利得制度の趣旨(財貨移転の矯正法)に鑑みれば,法律の予定する財貨秩序を回復すべく,弁済充当規定を類推適用すべきであるして,結論的に過払金の後行貸付に対する充当を認めました。

充当の根拠を「充当合意」に求める一連の最高裁判決とは異なり,ズバリ端的に「不当利得制度の趣旨」から充当の結論を導くという考え方は,茆原正道弁護士らの提唱する法定当然充当論に近いものです。これが広まれば,契約分断→消滅時効というサラ金の主張はおよそ通らなくなりますね。

◎木津簡判H20.4.8

プライム(廃業済み)から債権譲渡を受けたSBIイコールクレジットに対する過払金請求のケース。CAM等のメーリングリストでも,詐害行為取消構成などが提唱されたものの,まだ未解決の問題でした。

が,ついに勝訴判決が出ましたね。本判決は,貸主としての契約上の地位から貸金債権部分のみを切り離して処分することは認められないと判示して,SBIイコールクレジットの過払金返還義務を認めました。

私自身,対SBIの過払金事案でやや弱気な和解をしてしまったことがあります。そこで,その罪滅ぼしのつもりで,本判決を紹介させていただきました。同種事案でお困りの先生方,今後は強気で行きましょう!


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2008年5月31日 (土)

消費者法ニュース (75号/消費者法ニュース発行会議)
 

最近出された五菱会ヤミ金事件判決(東京地判H20.3.7)が掲載されています。

ヤミ金業者に対する返還請求については,いわゆる全額説(弁済総額の返還を請求できる)と差額説(弁済総額から貸付総額を差し引いた金額の返還のみ請求できる)の対立があります。本判決は,(1) ヤミ金の貸付金は,不法原因給付に該当し,その結果として原告に帰属することとなったものであるから,その後の原告らの弁済金を補填する性質のものではないこと,(2) また,実質的にも,貸付を受けた債務者はすぐにこれを他の業者への返済にあてており,現実に原告らの損害の補填機能を果たしていないこと等を理由に,損益相殺の適用を否定し,全額説を採用しました。

評釈では,「ヤミ金の息の根を止める画期的判決である」と絶賛されています。


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2008年3月 5日 (水)

消費者法ニュース (74号/消費者法ニュース発行会議)
 

知る人ぞ知る,ねこ裁判。

捨てねこを保護して里親を探すという活動をしていた原告から,10匹以上のねこを被告が騙しとった(そして,実際には育てることなく,売り飛ばした?)という事案です。後になって,騙されたことに気づいた原告が,被告に対し,ねこの返還と慰謝料等を請求しました。

第1審では,ねこの特定方法が問題となり,返還請求は棄却されたように記憶しているのですが(たしか判例時報に載ってたような・・・ ),控訴審である大阪高判H19.9.5は,なんと,ねこ返還請求を肯定しました。各ねこの特徴の記載と写真があれば,訴訟物の特定として十分であると判示しています。


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2008年3月 3日 (月)

週刊法律新聞 (1753号/法律新聞社)
 

首相の諮問機関である国民生活審議会が,悪質商法被害救済のための新制度創設を提言したとの記事。

・悪質商法被害を,組織犯罪処罰法や犯罪被害者給付金支給法の対象に含める
・政府が業者に対して損害賠償を命令する
・被害者の民事訴訟を国が支援する
・一定の消費者団体が,被害者に代わって損害賠償請求を行う
などなど。

2,3年後をめどに制度化されるそうです。


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2007年12月 6日 (木)

消費者法ニュース (73号/消費者法ニュース発行会議)
 

過払金の充当に関する良判決。大阪簡判H19.7.18は,いわゆるブランク型の事案について,たとえ第1取引と第2取引の契約番号やカード番号が異なっていても一連計算を認めるべきと判示しました。

よくぞ言った!! 

一連計算での和解に応じない困った業者を相手にしている先生方は,是非ご一読下さい。


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